フリーランスの攻略本

BUROKI designの黒木大輔さんに訊く!グラフィックデザイナーの実態とは?

Webサイトやロゴ、雑誌や新聞の広告、パッケージや看板、チラシなど、さまざまなものをデザインする、グラフィックデザイナー。

華やかで人気が高いと言われる職業ですが、「実際、どんな流れでお仕事しているの?」「グラフィックデザイナーになるにはどうしたら良いの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

今回は、フリーランスのグラフィックデザイナーとして活躍されている黒木大輔さんにお話を聞きました。

現役グラフィックデザイナーが明かすお仕事の実態や、どのような経歴を歩んでフリーランスとして活躍できるまでになったのか、紐解いていきます。

黒木大輔(グラフィックデザイナー)

2007年よりwebデザインを学びはじめ、2008年にベンチャー企業に入社。マスターデザイナーとして企業のwebサイト、ロゴ、名刺、紙媒体などのすべての制作物のデザイン、ディレクションを行う。
本業の傍ら2012年より個人活動をスタートさせ、本格的に注力するために11年務めた企業を退社。
2019年5月にフリーランスデザイナーとして「BUROKI design」を開業した。
2021年5月、制作したロゴがパイ・インターナショナルの書籍「信頼・誠実を大切にする 業種別ロゴのデザイン」に掲載される。
これまでに竹本工務店、マコト化学、NewSPOなど、多数の企業やイベントのロゴデザインを担当している。

>>黒木さんの詳しいプロフィールを見てみる

>>書籍「信頼・誠実を大切にする 業種別ロゴのデザイン」への掲載について詳しく

グラフィックデザイナーとしてのお仕事について

2019年に開業。「BUROKI design」としてフリーランスに

Q. 今のお仕事について詳しく教えてください!

黒木さん

「BUROKI design」として、webサイトやロゴ、名刺、チラシなどを制作するフリーランスデザイナーをしています。

ーー(編集部)得意なジャンル・制作実績の多いジャンルなどはありますか?

黒木さん

得意なジャンルは特にないですし、特定しないようにしています。

デザイナーはクライアントさまの要望にできるだけ応えるのが仕事だと思っているので、どんなジャンルでもテイストでも制作するように心がけています。

ーー(編集部)そうなんですね!では、依頼を受ける企業さんも、「業界を問わず」という感じですか?

黒木さん

おっしゃるように業界問わないです。

コーポレートサイトのような一般サイトだけでなく、ECサイトやメディアサイトなども柔軟に制作できるのが自分の強みだと思っています。

ーー(編集部)クライアントの要望に応える姿勢、プロフェッショナルを感じます!

黒木さんがデザインした、動物医療の出版社「EDUWARD Press(エデュワードプレス)」さんのwebサイト。画像に頼らず、文字を中心にスタイリッシュに仕上げている。

Q. 今のお仕事をしようと思ったきっかけ(理由)はなんですか?

黒木さん

はじめはデスクワークがしたかったからという、単純な理由です(笑)。
元々はwordやexcelを勉強し、事務員になってみたかったのですが、なかなか面接に受からなかったので、デスクワークで違う職種であるwebデザイナーになろうと思いました。

ーー(編集部)もともと事務員志望なんですね!webデザイナーはいつから意識し始めたんですか?

黒木さん

ボクがwebデザイナーを志したのが2007年ごろのことで、「webデザイナー」という仕事自体が、そこまで一般的に知れ渡っている業種でもなかった記憶があります。

なので「webデザイナーになるぞ!」といきなり憧れを抱いた訳ではないんですね。最初はそういった職業があることもちゃんとは分かってなくて。

ただ、なんとなくwebサイトを閲覧していて、「こんなサイト作れるようになりたい!」と思ったというのがあって、事務員以外の道を探していたときに目に止まったという感じです。

ーー(編集部)元々志望されていたお仕事ではないけれど、結果的に自分の天職に巡り合われているのは、なんだか運命的なものを感じます…!

フリーランスとして働く中で黒木さんが感じていること

「(フリーランスは)時間に縛られず自分のペースでストレスなく制作できるのが良い」と黒木さんは語る。

Q. フリーランスという働き方を選んだ理由は?

黒木さん

前職ではインハウスデザイナーをしていたので、仕事内容は自社関連のデザインが中心だったんです。自分自身でどこまでやっていけるのか、自分次第の環境で一度試してみたいと思い、独立を考えるようになりました。

ーー(編集部)インハウスデザイナーは「自社ブランドの製作物」を担当するデザイナーのことですよね。「もっと色々なデザインをやってみたい!」といった気持ちがあったということでしょうか?

黒木さん

そうですね。

インハウスデザイナーはどうしても自社の制作に限られてしまいがちなので…。

デザイナーとしての幅をもっと拡げたくて、2012年ごろより会社員デザイナーと並行して、個人での制作もはじめるようになりました。

Q. フリーランスになる時、どんな気持ちでしたか?不安な気持ちなどはありましたか?また、なってみて気持ちはどのように変化していきましたか?

黒木さん

フリーランスは一人ですべてやらなければいけないので、なる時は覚悟を持って開業しました。

はじめのほうは仕事がもらえるのか少し不安もありましたが、開業前からwebサイトやSNS経由で制作の依頼などいただいていたので、そこまで大きな不安はなく、続けていける自信がありました。それは今も変わっていません。

ーー(編集部)開業前から依頼が来ている状態を作れていたのですね!これは先に副業をされていたからでしょうか?

黒木さん

BUROKI design自体は2012年から立ち上げていまして、本業に負担のかからない範囲で副業として制作をぼちぼち受けていました。

当時から依頼もそれなりに途切れることなくいただいていたので、あまり不安もなかったんです。

ーー(編集部)副業でコツコツ活動されていたのが、独立に繋がったんですね!

黒木さんがデザインした「竹本工務店」のロゴ。高年齢層の人たちにもわかりやすくシンプルなデザインを目指した。

Q. フリーランスになって良かったことを教えてください!

黒木さん

僕は組織に属することが基本的に苦手なタイプなので、適度に人と距離を保ちつつ、一人で考えて実行できるフリーランスという働き方は自分に合っていると思っています。時間に縛られず自分のペースでストレスなく制作ができるので。

ーー(編集部)フリーランスは性格に合っていたということですね!

黒木さん

いろんな職種の方々と仕事ができ、仕事やデザインを通じてつながりができていくのも嬉しいですね。

実際にお会いしたことのないクライアントさまのほうが多いんですけど、一度制作させていただくと再度別の制作を依頼してくださったり、別の企業さまを紹介してくださったり…。

そういうふうにつながりができていくのは嬉しいです。

ーー(編集部)良い出会いの連鎖のようなものができていくんですね。素敵です!

黒木さん

あとは、税金やお金の知識を得ることができたのも良かったですね。会社員時代は給料明細自体見ないくらい無頓着だったので、必要に駆られて知識を増やせたなと…!

Q. フリーランスになって大変だったことを教えてください!

黒木さん

税金が高いです!笑

会社員は税金を半分しか払わないですみますが、フリーになると全額支払わないといけないので、単純にそこの負担が大きくなりますね。

特に住民税や国民健康保険なんて高すぎて…汗

なので経費にできそうなものは経費にしながら節税は意識しています。個人事業税なんかも払わないといけなかったり、会社員時代とは違った税金を支払う必要も出てきますね。

ーー(編集部)おっしゃる通りですね(笑)。賢く節税する知識は、フリーランスに必須な気がします。

黒木さん

あとは、確定申告も大変ですね。なので「会社員は恵まれてたんだなあ」と思うことはよくあります。でも自分の選んだ道と思っているので、後悔はないですけどね。

「株式会社NewSPO.」のロゴデザイン。「スポーツらしさ」を大切にしながら製作。

黒木さんが考えるフリーランスになるために重要なこと

黒木さんがデザインした「びすけっと保育園」のwebサイト。親子向けの柔らかい雰囲気を感じるテイストで製作。

Q. これからフリーランスになりたいと思っている人のためにアドバイスをお願いします!

黒木さん

来年10月からインボイス制度がはじまり、フリーランスの働き方が変わる、もしくは続けられなくなる可能性があるので2、3年は様子を見たほうがいいと思います。

ーー(編集部)すみません私の勉強不足であまりわかっておらず…。詳しく教えていただけますか?

黒木さん

いままで年間の収入が1000万円以下のフリーランスは免税事業者として消費税を納める必要がなかったのですが、インボイス制度が導入されると1000万円以下でも免税事業者ではなく課税事業者になる必要があり、消費税を納める必要が出てきます。

ーー(編集部)シンプルに税金が上がってしまうんですね!

黒木さん

厳密にいうと免税事業者のままでもいいのですが、それだと企業からの制作依頼が来なくなる可能性が高いんですよね。

この理由も税金がらみで、ちょっとややこしいので割愛しますが、簡単にいうと「免税事業者」よりも「課税事業者」に製作をお願いした方が、企業が税金的に得する仕組みなんです。

ーー(編集部)なるほど…。そうなると免税事業者は選びづらいですね…。

黒木さん

今までの収入から新たに消費税を支払うことになるので、消費税分のお金でやりくりしていた事業主はかなり厳しいことになると思います。

そういった理由からフリーランス人口が減る可能性がありそうです。(ボクもどうなるかわかりませんし)

ーー(編集部)なるほど、インボイス制度がフリーランスにとって逆風になってしまっているので、慎重に考えたほうが良いということですね…!

Q. フリーランスになるために具体的にどのような手順を踏んでやっていくのが良いと思いますか?

黒木さん

学校でデザインを学んですぐフリーランスになるのではなく、まずは制作会社や事業会社などに入って数年デザイナーとしての下積みを経験したほうがいいです。

Webサイトといっても、業種によってサイト構造もデザインも変わります。まずは制作経験を積んで、自分なりの「答え」を出してからフリーランスの道を考える、という順番が良いと思います。

ーー(編集部)なるほど。「いきなりフリーランス」はおすすめしないということですね!

黒木さん

そうですね。依頼される制作の内容は思っている以上に幅広く、経験がものをいう場面も多いです。経験は勉強しただけでは得られませんし、お金をもらう以上はプロです。できないでは済まされません。

そして何より「デザイナーとしての自分をどれくらいの人が認知してくれているか」。これも大事だと思います。

人とのつながりから得られる制作案件は信用できるし、仕事にも繋がりやすいです。

フリーになるのは何歳になってもできることなので、長くデザイナーとしてやっていくことを考えたほうがいいと思います。

ーー(編集部)フリーランスの世界はやっぱりシビアですよね。実績を作って、人との繋がりができてからフリーランスになると、安定感も増しそうです。

Q. フリーランスとして活動する中で使って良かったサービスやグッズがあれば教えてください!

黒木さん

まずは会計ソフトfreeeですね。確定申告でめちゃくちゃ役立ってます。

ーー(編集部)freee便利ですよね!弊社も会計管理はfreeeで行なっています。

黒木さん

それから「Boyataのノートパソコンスタンド」も買って良かったなと。ノートPCを使うようになって首の痛みに悩まされていましたが、これでだいぶ和らぎました。

ーー(編集部)本当に偶然なのですが、freeeに続いて「Boyataのノートパソコンスタンド」も、私、使ってます!ノートPCを顔の高さにできるので肩こり軽減につながりますよね!

黒木さん

あとは「AKRACINGのゲーミングチェア」を使っています。座り仕事なので腰痛対策に重宝していますね。

Q. グラフィックデザイナーならではの大変なこと・楽しいことを教えて欲しいです!

黒木さん

どんな要望にもデザインで応えないといけないところ。

不安もあるし大変なこともありますが、制作しているときは楽しいし、クライアントさまが喜んでくださったときは何よりも嬉しいです。

Q. 最後に黒木さんの今後の目標を教えていただけますか?

黒木さん

企業さまのブランディングに関わるようになっていきたいです。

いまはデザイナーとしてデザインからのブランディングに関わることが多いですが、企業の根底の部分からデザインを通じて整えていけるような、そんな関わり方が理想です。

ーー(編集部)デザイナーの枠を超えた形で、もっと企業に貢献したいという想いがあるんですね!黒木さんの今後が楽しみです!

編集後記

今回は、「BUROKI design」として大阪を中心に活躍されているグラフィックデザイナーさん、黒木大輔さんにお話を訊きました。

「デザイナーはクライアントの要望に応えるのが仕事。得意なジャンルやテイストはないし、敢えて作らないようにしている」というお話が非常に印象に残っています。

自分の役割を全うする姿勢に「プロフェッショナル」を感じました。だからこそ、黒木さんへの制作依頼は途切れないし、人の繋がりも増えていくのだろうなと…。

「学校を出てすぐに独立するのではなく、制作会社で経験を積んでからの方が良い」と語られていたのも、黒木さんの地に足ついた考え方が表れているように思います。これからグラフィックデザイナーを目指す方にとって、このインタビューはすごく価値があるのではないかと思いました!

私も黒木さんからすごく勉強させていただけて、楽しいひとときとなりました。

>>黒木さんのwebサイトを見てみる

聞き手:中川悟志(「フリーランスの攻略本」編集長)

ユニークキャリア株式会社、取締役COO。1995年生まれ。京都大学大学院を修了後、半導体メーカーに技術者として就職。8ヶ月後に退職し、フリーランスライターに。メディアディレクターを経て、2022年2月よりユニークキャリア株式会社取締役。2,500万円での事業売却実績がある。また、大学院在籍中に執筆した論文が、Review of Scientific Instrumentsに掲載されている(詳細はこちら)。

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